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隙だらけだな、と熱っぽい吐息とともに、耳元で囁かれる。背後から前に回された腕を引き剥がそうとしても、逃さないと言わんばかりにきつく抱きしめられた。そうして藻掻いている間に、癖の悪い手が服の隙間へ差し込まれ、直に胸へと触れてきた。女ほどの容量もなく、柔らかくもない肉を、下からすくい上げる様にして、掌の中でむにゅむにゅと揉みしだかれる。
「んっ……、やめろ……」
不埒な動きを止めたくて、男の手首を掴んだが、仕返しのように乳首をきゅっと摘まれた。乳輪から乳頭にかけて、扱くように愛撫されると、手に込めようとしていた力はいとも簡単に抜けてしまう。ただ手首を掴むだけで、抵抗にもならない。寧ろ、もっととねだっているような状態になってしまった。
「く、ぅ……あ、んんっ」
「……あんた、こうされるの好きだよな」
「ちがっ……いや、だ……ッ」
「いやの反対はイイって、知ってるか?」
何を、と反論しようとしたが、不意に乳首を強く押されて、頭の中で考えていた悪態は、意味をなさない喘ぎ声へとすり替わった。文句の一つでも言ってやりたいが、口から出てくるのは甘ったるい吐息ばかりでどうにもならない。くにくにと指の腹でしつこく捏ねられると、下半身がじわじわと熱を持ち始める。あそこが張り詰めていくのを感じて、思わず太腿を擦り合わせた。その刺激で下着がじっとりと濡れていくのを感じる。恥ずかしい。はしたない。乳首への愛撫だけで、こんなになっているのを大典太に知られたくない。そう思っているのに、やたら察しのいい彼は、片方の手を鬼丸の下半身へ伸ばして、スラックスの前を慣れた手つきで緩めた。下着もずらされて、恥ずかしいぐらいに屹立したそこが、ぷるんと姿を覗かせる。先端の割れ目は先走りで濡れ光り、自身の昂ぶりを嫌でも知ってしまう羽目になった。
「あ……」
「こんなに濡らしてたら、胸だけでも達けそうだな」
「そ、そんなの、むり……っ、あうっ!」
再び始まった胸への愛撫に、身体がことさら大きく跳ねる。荒っぽい動きのせいで、薄手の服は胸の真ん中辺りで撓み、あらわになった白い胸が、大典太の手の中で卑猥に歪む。
「ふ、ぁ、あ……、く……っ」
すっかり色濃く固くなった乳首も指先で弾かれ、摘まれて、与えられる快楽の強さに、視界がぼんやりと水の膜で潤んでいく。目尻に溜まった涙が頬を伝う頃、大典太が耳朶を食み、
「……鬼丸」
と名を呼んで、甘い言葉をそっと吹き込んだ。行為の中で言われると一番弱い、その言葉。胸の奥が疼き、身体の熱は一気に上昇して、腰の辺りにぞくぞくと甘い痺れが走った。
「ぁ……、あ……」
触れられていなかった陰茎から、白濁がとろりと溢れ出る。勢いこそないものの、ぴくぴくと脈打つ度に吐き出される精液は、陰茎を伝い落ちていく。吐精でぱっくりと開いている鈴口を大典太の指がつう、となぞった。
「んんっ……」
「どうする? ここでやめにしておくか?」
敏感になっている裏筋を辿られ、がくがくと膝が震えた。情けないことに、大典太の支えなしではもう立っていられないぐらい骨抜きにされてしまっている。さっきから指で弄ばれている陰茎は、まだ張り詰めたままで、おさまる気配はない。それどころか、高まった性感のせいで、身体はより深いところへの刺激を欲しがっている。
早く、早く、熱くて太いものでお尻の奥まで掻き回して、めちゃくちゃに犯してほしい。おっぱいもおちんちんも大きな手でたくさんいじめてほしい――決壊する理性が、自我も恥じらいも、何もかもを思考の外へと押し流す。
「ぁ……、もっと……したい……」
恍惚とした声でそう言うと、首筋に柔らかい息が吹きかかった。背後の大典太はきっと微笑っている。
いいようにされて、憎たらしいし悔しい。けれど、今はそんなことどうでもいい。
すっかり蕩けてしまった頭と身体は、彼の好きなようにされたいと望むばかりだった。